染め屋親父の独り言


染め屋親父の思い出

1

娘からランチに誘われて市内のショッピ ングモールに出掛けた。駐車場に車を止めて店に向かって歩いていると証明写真を撮れるボックスが目にとまり、懐かしくなりボッ クスの中に入ってみた。 後をついて来た娘が不思議そうな顔をして中を覗きこんでいる娘の詮索が始まる前にボックスを出た。
 今で言えば'プリクラ,と同じような感じで仲間と利用 していたと説明したら納得していた。学生時代に付き合っていた恋人と何度となく想い出写真を撮った事を思い出していた。モノクロの写真が縦に四枚並だ写真、シャッターが数秒間隔で切られるからどんな写りになるかドキドキして撮影していたな。どこまで娘に話せば良いか悩むが、当の娘は興味が失せたようにお目当ての店にどんどん歩いて行く。
証明写真のボックスで娘と写真を撮れば良かったかな
 2.

今年は秋が殆ど無かった。夜に外に出る度にかんじている。
革の手袋を箪笥から二組取り出した。カジュアルな茶系とフォーマルの黒・・・ 共に十年選手だ。

カミさんと付き合っていた当時、晩秋なると雪国出身のカミさんはいつも手袋を嵌めていた。乾燥に弱いぐらいにしか思っていずに大して気にもとめなかった。

卒業してお互いが実家に戻った。遠距離恋愛になり、冬なると新幹線で行き来していた。大雪の日に新幹線のホームで僕を出迎えてくれたカミさんが手袋で暖めた手で僕に手を差し伸べた時の暖かさは、今も鮮明に覚えている。
いつもポケットに手を突っ込んでいたから尚更だった。
それから冬になると手袋を嵌めるようになった。

 

天然物

 先日、仲間たちと寿司屋で食事中に面白い話になった。

切っ掛けは、大間で捕れた本マグロは全て美味いのか?
寿司屋の親父さんは『大間のマグロって言っても使えるネタは
一割だよ、いつの間にか、大間大間と騒いでいるね』養殖マグロは
回転寿司でもてはやされているけど、どうなのかな?
『問題外』との返事が返ってきた。
へそ曲がりな僕は、和牛の話を出してみた
国産のブランド和牛と呼ばれるものは、種牛の生産業者がいて
各地のブランド牛業者が、それぞれのノウハウで育てている養殖牛だよね。
イベリコ豚なども同じです。 
養殖マグロも近大マグロを除けば、黒潮にのって泳いでいる稚魚を
捕獲して生簀で大きくします
天然が本物で養殖が紛い物はおかしくないかな?

ここまで来ると重箱の隅をつつくような議論になりますが、
人の価値観は様々で難しいものです。

 

侘び寂び

 染色の仕事を生業にしていますが、過去に染めた色と同じ色の

依頼を受けたことが無く、何万色も作ってきましたが、本当に様々です。
先日、古美術商の社長さんから『展示即売会を開くから君も来ないか』
お誘いを頂きました。
自分で初めてプロデュースしたカーテンを展示しました。
海外向けや若者向けをメインの色にしましたが、結果は散々です。
何がいけないのか、来場する客層がわかっていなかったことが大きな
原因でした。色の感覚が日本人だけが大きく違うことを改めて意識しました。

個人的な屁理屈ですが、武士道や茶の湯のわびさびが大きく関係しているように
思えます。古代の発掘された壁画や、建築当初を復元した寺や神社、
製造された当初の仏像などをみても、
極彩色に溢れた文化が日本にもあったことがわかります。
キリスト教やイスラム教なども色彩感覚は多少のズレはありますが、
色彩豊かな 文化であることがわかります。
こういったものが自然と日常生活にも反映される はずです。
華美にならず質素に美しさを表現する日本文化 素敵じゃないですか

 

天然繊維と化学繊維

 化学繊維として思いつくのが、ナイロン・ポリエステル・アクリルといった 名前でしょう。

開発当初は、ナイロンは絹、ポリエステルは綿や麻、アクリルはウールと
天然繊維を模倣して作られた。ナイロンは英語表記がnylon、このアルファベットを
逆さに読むとノーリンと読めます。
太平洋戦争開戦前に日米は最悪の関係にあり、
石油をはじめ多くの物資が禁輸措置を取られたために、
日本は輸入ができなくなった。
対米措置として、日本は絹などを輸出禁止にした。
ストッキングの需要のために、アメリカのデュポン社が開発したのがナイロンで、
ネーミングで日本を揶揄したものといわれている。
開発当時は、風合いや機能において絹に叶うはずもなく、
廉価な物の位置づけがなされていたが、今は下着を始め、
釣り糸など様々な分野でなくてはならない物となっていている

ポリエステルは、綿や麻と同じような繊維として開発された。
丈夫さや製品コストでは はるかに綿や麻を凌ぐ。
吸水性や風合いや肌への馴染みなどは、遥かに劣る。
軽さや丈夫さから、過酷な自然環境に適応する衣服としてや、
紫外線劣化に強いことからインテリヤ製品として進化してきた
フリースなどは当に日常生活に欠かせないものとして認知されている

まねから始まったものが、進化や改良を続けて一つのものとして認知され、
上手く共存していると思う

化学繊維は人間が作ったもの、それゆえ人いうことを聞く。
天然繊維はいうことは聞かないが特性を理解して利用できる違いもある